伊吹山を知る山と人間学の本(伊吹山ネイチャーネットワーク) 伊吹山の採草:高橋順之(伊吹山ネイチャーネットワーク)


11. 伊吹山の採草:高橋 順之
【ふたつの伊吹山】
  伊吹山は、「いぶきやま」とも「いぶきさん」とも呼ばれます。富士山や白山、石鎚山のように信仰の山の多くは「さん」呼び、みなさんが住んでいる地域の里山は「やま」呼びです。伊吹山がふたつの呼び方をされるのは、神仏の座す霊山であり、山麓の人々にとっては、さまざまな山の恵みを与えてくれる大きな里山であることを物語っています。
【伊吹山での草刈り】
 昭和三〇年代の古写真を見ると、三合目から山頂まで、いまよりももっと草原が広がっています。一合目から山頂にかけての南西斜面では、田畑の肥料や家畜の飼料のための採草がおこなわれてきました。江戸時代中頃の絵図にも描かれていますから、この時代には行われており、農耕用の牛が耕運機に変わり、化学肥料が多量に出回るようになる昭和三〇年代後半まで続きました。採草という人の手が加わって、貴重なお花畑(植物群落)が広がっていたのが、伊吹山の特徴です。



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