伊吹山を知る山と人間学の本(伊吹山ネイチャーネットワーク) 伊吹山の雨乞いと太鼓踊り:中島 誠一(伊吹山ネイチャーネットワーク)

8. 伊吹山の雨乞いと太鼓踊り:中島 誠一
■山寺の地中に埋められた鐘
 私にとっての伊吹山は、雨乞いと太鼓踊りの霊峰です。長浜城歴史博物館の民俗担当学芸員であったころ【近江の太鼓踊り?竜神信仰と雨乞い踊り?(平成一二年)】という特別展を担当
開催しました。その際、伊吹山の二合目にある松尾寺境内から昭和四三年八月二一日、ブルドーザーで整地中に発見された鐘を展示しました。現在、鐘は伊吹山文化資料館に保管されています。鐘に彫られた文字によってもとは山麓に鎮座する三之宮神社のものであったことがわかりました。
 なぜ鐘がこのような高地に埋められていたのでしょうか?
 一説には陣鐘として担ぎあげ使用されたのち、強奪されるのを恐れて地中に埋められたと言われていました。しかし隠すだけの目的であれば納屋でも近くの藪の中でもよかったでしょう。何か作為的な理由がなければ、六人がかりでやっと動く二〇〇kgはあろうというこの梵鐘を担ぎあげることはなかったはずです。
 その謎解きのヒントをくれたのは実は竜王町の竜王寺の鐘でした。この鐘には、旱魃の際には山腹付近まで担ぎ上げ雨を願って慈雨に恵まれたという伝承があったからです。


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