NAture Watching Column <2>

Nature Watching Column
Vol.12〜22
★バック・ナンバー ネイチャーコラム(No.1〜No.11)
VOL.23 Nature Watching Column
ハナイカダ(ミズキ科)
花の上にあるのは何でしょう?虫ではありません。花なのです。
綾木陽一
(彦愛犬支部会員)

 この植物は葉の真ん中に花を咲かせ、名前も「ハナイカダ」。
葉を<筏>に、花を<船頭>に見立てて、つけたとか。
名前をつけた人のセンスの良さに脱帽します。
このユニークな姿は花軸と葉の中央脈がひっついてしまったためです。
雌雄異株の植物で、雌花と雄花は別の株につきます。
花は葉とよく似た緑色なので目立ちませんが、
夏から秋にかけて黒色の果実がつくと遠くからでも分かります。

若芽は食用でき、おひたし、てんぷら、各種和え物、佃煮など。

VOL.22 Nature Watching Column
彦根城のオオイタビのお話し
渡邊輝世(彦愛犬支部会員)
史跡調査と石垣の修理工事のため、やむを得ず切られた大木とツタの嘆き
 このオオイタビは、彦根城はもちろん滋賀県内でも大変に珍しい常緑つる性の貴重な植物です。しかし、このたび彦根城の史跡調査と石垣の修理工事のため、大変に残念なことですが、今年3月25日に彦根市の委託業者の手で伐採されました。
 私もその場に立ち会いましたが、伐採されるオオイタビと蔦が絡んでいたムクノキとタブノキ(推定樹齢80〜90年)大木の声が聞こえる用で辛い思いをしました。
 切られた多くの蔦がありましたので経験がなく何本つくかわかりませんが、彦根市の観光課の皆さんとともに250本挿し木を近くにしてみました。
 水やりなど行い今後の経過を観察してゆくつもりです。

伐採されるオオイタビと蔦が絡んでいる
ムクノキとタブノキ→

▼オオイタビと蔦が絡んでいたタブノキ
(推定樹齢80〜90年)
▼何本つくか分からないが
250本を近くに挿し木
VOL.21 Nature Watching Column
エナガ(エナガ科
綾木 陽一(滋賀自然観察指導者連絡会彦愛犬支部)
 犬上川の河口で水面に浮かぶオカヨシガモ、キンクロハジロ等を双眼鏡で観察していると、背後のヨシ原でジュクジュク、ジリッジリッといった鳴き声が聞こえてきた。
 急いで後ろを振り向くと、わずか5m程先のヨシ原、枯れ木の枝にシジュウカラ、エナガの群れが、移動しながら芽等をついばんでいる。そっと、ザックからカメラを取り出し、シャッターを切る。10分ほどエナガたちはついばんだ後、次の木へ移って行った。私には全く気付いていないようである。落葉樹が葉を落とす冬は水鳥の観察はもちろん、小鳥たちを観察する絶好の機会です。
 エナガは一年中見られ、シジュウカラなどのカラ類と群れを作ることが多く、にぎやかな声を出しながら、枝から枝へと渡っていきます。全長は14cmと小さく、尾が長い。背中の一部や腹部が淡いぶどう色をしています。
VOL.20 Nature Watching Column
種から育てたセツブンソウ(藤関義樹)
滋賀自然観察指導者連絡会彦愛犬支部:藤関義樹

 野原から昔ながらの野草がなくなっています。宅地開発や河川改修のほか、根こそぎの盗掘も原因なのでしょうね。野辺の可憐な花を身近におきたい気持ちはわかりますが、盗掘は困ります。でも、ちょっと種をいただいて、蒔いてみるのは楽しいものです。
 そして、これはまた新たな自然観察になります。スプリングエフェメラル、セツブンソウを種から育ててみました。

上が二年目の芽、下が一年目の芽:右写真→

 セツブンソウは節分のころに咲くので、そういわれているようです。早春の落葉樹の林縁を飾る可憐な花です。湖東地区にも自生地は少なくありませんが3月入ってからの開花が多いようです。以前から、野草を種から育てることに興味を持っていたので、育ててみることにしました。種は5月初旬に袋果として、成熟します。ちょっと黄色っぽくなったころ、これを採取して、土に蒔きます。
 鈴鹿山脈などの石灰質の土壌が好みの植物なので、ちょっと工夫をします。 つまり、コンクリートのかけらなどを少し混ぜるのです。
 上には、ミズゴケで覆っておいて、日陰に置きます。 発芽をずっと待っていても、その年に発芽することはありません。
 次の年の早春、葉っぱが一枚でてきます。キンポウゲ科は双子葉植物なのですが、単葉の発芽です。 これはほんとは双葉で発芽しているのですが、双葉の一方が土の中に隠れているからです。 それで、単子葉のようにみえるのです。
 この一つの葉っぱは1−2ヶ月で枯れてしまいます。葉っぱが次に現れるのは、また次の春です。今度は、見慣れたセツブンソウに特徴的な葉っぱです。でも、この年も開花はしません。開花は次の年です。
 順調だと種を蒔いて3年目の早春、やっと種から育てたものが開花します。
 お手軽な園芸植物と違って、時間がかかる開花ですが、清楚な花を見たときの喜びは格別のものがあります。皆さんも一度挑戦してみませんか!?   藤関義樹
VOL.19 Nature Watching Column
●フクジュソウ(キンポウゲ科)
昔から、日本ではおめでたい花としてお正月の飾り花として使われています。

しかし、これらの飾り花は園芸種であり、野生種は、現代の正月の時期には咲きません。旧暦の正月頃に咲くことから「元日草」と呼ばれています。花言葉もおめでたく、「幸せを招く」。
 鈴鹿山系では3月中旬〜5月上旬にかけて見られ、セツブンソウ、ミスミソウなどとともに春を告げてくれる代表的な花です。
 黄色の花弁をパラボラアンテナのように広げ、太陽の光を一心に受け、周囲より温度が高くなり、虫たちにとっても集まりやすくなっています。日本の他では中国、シベリアなど東アジアの山野に自生しています。

 文・撮影:綾木陽一(2001.3.20撮影/場所:多賀町)

VOL.18 Nature Watching Column
●冬の星空を観てみよう。
 一年中でいちばん寒い冬。夜ともなれば、暖かくした家の中にとじこもりがちですが、この季節の星空は最もはなやかです。
 冬の空は、季節風のために空気がすんでいるうえに、1等星以上の明るい星が7個以上も見えます。それらが天頂から南へ流れる天の川を中心にして、ほどよく点在しています。
 冬の星空の中心はなんといっても、南の空に三つの星が印象的なオリオン座です。さらにこいぬ座、ふたご座がどうどうとかがやいてます。また、その西には恒星シリウスのかがやくおおいぬ座、おうし座、さらに北にはぎょうしゃ座もかがやいています。たまには部屋からでて冬の星座を探すのも、なかなかいいものですよ。

★撮影(筒井)=彦根市男鬼町の比婆神社境内
筒井安正 (彦愛犬支部会員)

VOL.17 Nature Watching Column
●冬の天使「コハクチョウ」奥びわ湖へ飛来(2001.12.16)
筒井安正 (彦愛犬支部会員)
 今冬も、奥琵琶湖に本格的な冬の到来を告げる使者、純白の羽をまとったコハクチョウたちが美しい姿を見せている。その姿は、使者と言うより「天使」という表現がふさわしいかも知れない。奥琵琶湖早崎内湖の水田に50余羽のコハクチョウが、残りの稲穂をついばんでいる。中には、灰色を帯びた若鳥も混じっていた。
 私たちを目の前にしながらも、警戒心もなくのびのびと羽を広げているのを見ると、人々が自然に対するマナーを心得てきたのではないかと感じらる。そして、彼らは今後の約3ヶ月間、この聖域で暮らす。
 今日は、湖北特有の冬時雨、後方の山本山に虹が華やかな彩りを添えている。
 一方、山本山麓にもう一羽の冬の使者も訪れた。鳥類の王者オオワシ(天然記念物)だ。約2メートル余の羽を広げ、獲物を射止めるため湖上を舞っている。3度め目の挑戦で湖上の魚を鷲づかみにする。魚の尾がシルエットで見えるほどの大きさだ。悠々と大空を舞い、麓の松の梢の餌食場で約30分をかけ食事タイムを楽しんでいた。さらに、冬の奥琵琶湖には2羽のオオワシと1羽のオジロワシが現れ、自然の生業の素晴らしさを教えてくれる。筒井安正
VOL.16 Nature Watching Column 2001
●紅葉のしくみ
綾木 陽一 (彦愛犬支部会員)
 11月に入ると、秋がいっそう深まり、私たちが住んでいる平地の木々も一気に色づきます。モミジ、サクラ、ケヤキ、イチョウなどいろいろな樹木が紅葉しますが、なぜ、これらの樹木は秋になると色が変わるのでしょうか?
葉が赤くなるのは赤い色素が出来るためです。葉でつくられるでんぷんは糖分に変わって茎へ流れますが、気温が下がると植物のはたらきがにぶり、また葉のつけねに離層というコルク膜ができるため、糖分の流れが悪くなり、葉にたまってきます。
 このたまった糖分からアントシアンという赤い色素ができ、また一方で離層は茎から葉への栄養分の移動も抑え、葉緑素が壊れるためにアントシアンの赤が目立つのです。
●葉緑素 ●カロチノイド ●アントシアン

 黄色になるのはカロチノイドという色素のためですが、これはもともと葉に含まれていて葉緑素がなくなったために目立ってくるのです。
 一般に紅葉は最低気温が8℃以下になるとはじまるといわれ、 美しく紅葉がするためには温度、光、湿気の3つの条件が必要です。詳しくは昼夜の気温差が大きく、太陽が良くあたり、適度な湿気があれば美しく紅葉します。
VOL.15 Nature Watching Column 2001 10月
●くまで(熊手)
秋岡 義通 (滋賀自然観察指導者連絡会湖南支部)
 10月22日(日)淡海環境財団主催の研修会に参加した。当日は、うっとうしい雨。幸いにも一時的に雨があがった。屋外での体験講座がおこなわれた。
 足元が良くなかったので、体験内容は水路の藻の除去作業になった。作業は、水路に溜まった「藻」を熊手でかきとる。
 今、目の前にあるのは、竹でつくられたくまで。熊手に手をふれるのは、なつかしく感じられた。
 学童時代、授業中の校庭の掃除、熊手で落ち葉をかきあつめる風景を思い出した。
 時間を忘れるぐらい夢中になり・・・・・藻にくっついたタイコウチ、ガムシ、ヤゴ・・・水生昆虫が顔を出した。
VOL.14 Nature Watching Column 2001 10月
●ミカドギセル
(キセルガイ科ミカドギセル属) 殻高24mm 殻径4mm

金尾 滋史 滋賀県立大学環境科学部生物資源管理学科
 林の中をガソゴソガサゴソ。そんな私の怪しい姿を見て、「何やってるんですか?」とよく声をかけられる。そうすると、私は「ああ、カタツムリ探してるんですよ。」と答えるのだ。
 普通の人であれば、ここで私が変わり者であると思うに違いない。「すばらしい!!」とか「感動しました!!」なんて答えが返ってくると私の方がびっくりしてしまう。カタツムリを探しているなんて聞くとまず気持ち悪がったり、怪しんだりするのが普通の人であると私自身も心得ている。
 そんな道行く人に「すばらしい!!」「感動しました!!」と言わせる事ができるのが、このキセルガイの仲間や1mmにもみたない微小の仲間なのだ。普通、カタツムリと聞くと、マイマイの仲間を想像する人が多い為、独特の形をしたキセルガイを見ると、「本当にこれもカタツムリの仲間なんですか?」と眼を疑う。
  カタツムリを見て美しいというのも変かもしれないが、それでも私はこの貝を見ると美しいと言わずにはいられない。
 キセルガイはその名の通り細長いキセルの形をしており、普通のマイマイとは逆の左巻きをしている。私も高校時代にこのキセルガイの存在を知り、発見した時にはえらく感動した。
 中でもこのミカドギセルというのは滋賀県の伊吹山系、鈴鹿山地北部にしか生息していない種類で、他のキセルガイよりきわめて巻き数が多く、独特な形をしている。伊吹山といえば、我がグループがお花畑の観察会を毎年8月に開催しているが、私にとってはこのミカドギセルに会う事も一つの楽しみなのである。近年はめっきり数が減ったと聞くが、運がよければ岩場周辺で見ることができるだろう。
 このキセルガイのように今までは未知であったこの貝の世界にも、これからは眼を向けていくと思わぬ発見がある。それが、自然を観察している中での楽しみでもあるのだ。私がカタツムリの魅力を語り始めると日が暮れてしまう為、今回はここで綴じさせてもらうが、そんな思いを持ちつつ、今日も私は森や林の中にある渦巻きを求めて山へ行くのである。

VOL.13 Nature Watching Column 2001  10月
●タマゴタケ Amanita hemibapha(ハラタケ類・テングタケ科)
 霊仙山山麓の廃村「今畑」を過ぎ、登山道を約30分ほど登った山道のど真ん中にニョッキリと真っ赤な頭をのぞかせていた。
 それも、真っ白な卵の殻を破り、まるで寸前に生まれた赤鬼の赤子のようだ。
 猛毒のベニテングタケと同じく、鮮やかな赤色をしているが食べられるキノコという。
 決定的なちがいは、柄にある黄色のだんだら模様。味が濃くておいしいので、いろんな料理方法によく合うという。しかし、テングタケの仲間、よ〜く同定しないとたいへんなことになる。
★タマゴタケのバターしょうゆ炒め
 適当な大きさに切ったタマゴタケはたっぷり水を含ませる。酒でもよい。次にタマゴタケをバターで炒める。汁が出なくて焦げそうなときは酒を加える。しょうゆで味を調え,軽く焦げ目がついたらコショウを一ふりして出来上がり。ちょっとクセがあるのでレモンの輪切りをのせるとなおよい。この食べ方がいちばんタマゴタケの色合いを生かせるとのことです。(筒井安正:彦愛犬支部会員)

大人のキノコ→


赤ちゃんキノコ
VOL.12 Nature Watching Column 2001  9月
●カネヒラ (コイ科・タナゴ亜科・タナゴ属)全長 12cm
金尾 滋史 滋賀県立大学環境科学部生物資源管理学科
 季節はもう秋。厳しい夏の暑さを終え、涼しげな風が吹き始める頃、琵琶湖の周りで美しく彩る魚がいます。二枚貝に卵を産むタナゴの仲間のカネヒラ。タナゴ類の中でも大型の魚で、初夏に産卵を行なう他のタナゴ類の魚とは異なり秋に産卵期を迎える魚です。
通常、タナゴ類はオスが繁殖期に婚姻色(こんいんしょく)と呼ばれる鮮やかな体色を出します。その鮮やかさは、熱帯魚にもひけをとらず、多くの人を魅了してくれます。
 カネヒラのオスは秋になると淡い桃色と青緑色が混ざった美しい婚姻色をみせてくれ、琵琶湖周辺の内湖や河口域で多く見られるようになってきます。今年も、そんなカネヒラ達がやってくる季節になりました。
 私の調査しているフィールドにも、カネヒラの群れが琵琶湖からやってきました。橋の上からながめていると、群れで動いていたり、オス同士が相手を威嚇したりと様々な姿を見せてくれ、飽きることはありません。
  しかし近年の湖岸整備や干拓、そして外来種の増加などにより、彼らは残りわずかとなった生活場所で細々と生き延びている状態です。
 一方ではかつて琵琶湖淀川水系より西にしか生息していなかったカネヒラが観賞・飼育という目的で関東地方にも侵出し、河川や湖などで定着してしまっているのです。これらの出来事は私達人間が行なった行為には間違いありません。近年社会問題にまで発展してきたブラックバスの問題も同じ事です。彼らには何の罪もなく、私達の行なっている事に悲鳴をあげる事すらできないのです。
 このような現状の中で彼らを見つめ、いま一度、私達は何をすればよいのかを考えるきっかけになってもらえればと思います。

★バック・ナンバー ネイチャーコラム(No.1〜No.10)