<2004> Nature Watching Column  2004.1月〜3月


スプリング・エフェメラル カタクリ <ユリ科>
2004.03.25 綾木 陽一(彦愛犬自然観察会会員)

カタクリ

今の季節、落葉樹の樹林帯を歩くと木々の芽が出てきたばかりで、林の中は、まだまだ明るいです。
林床は、落ち葉がほとんどで殺風景ですが、時々、いち早く咲き始める花に出会えます。
このように、ほかの植物が繁る前に花を咲かせ、そしてすぐに姿を消す植物をスプリング・エフェメラル(春のはかない命・妖精)と呼びます。
 セツブンソウしかり、ミスミソウもそうでしょう。しかし、最もこの「スプリング・エフェメラル」に適してる
花といえば、私はカタクリを思い浮かべます。色といい、花の形といい、その美しさにため息が出ます。
 昔は里山等でたくさん見られましたが、里山の手入れが行き届かなくなったのと、
盗掘で激減していて、絶滅危惧種に指定されています。皆さんももし山で見つけられても
決して採らないでください。春の妖精カタクリは植木鉢より、明るい林床が一番似合っています。
 私は普通に見られた昔のことは分かりませんが、この時期に山を歩いていても
カタクリを見ることは滅多にありません。それだけに、この花と出会ったときは喜びも大きいのです。

セツブンソウ

ミスミソウ




2004.03.04 彦根の琵琶湖畔
春の雪に越冬ツバメが舞い飛ぶ

 春一番が吹いた2月下旬、その日からの日中気温は20℃前後に上昇、例年より10日も早い黄砂が太陽を染める。しかし、3日前から気温は急降下。今日は、とうとう早春の雪に見舞われ季節は逆戻り。仕事途中の午後、立寄った荒神山(彦根市)も、青い空と灰色の空が交差する中に白い風花が舞い散る。ふと、その天空に見上げると右往左往に飛翔する鳥の群れが現れる。じっと目を凝らすと明らかにツバメ。ひょっとすると越冬ツバメ?。…だとすると私は、はじめての対面だ。「ヒュールリィ〜♪ヒュールリ ィ〜ララ〜♪♪聞き分けのない〜女です〜♪」森昌子の越冬ツバメの曲を思いだした。
 暖かな南の地方に越冬するというツバメがなぜここに? 写真は、この時デジカメで撮らえたもの。この季節、琵琶湖畔で観たことある人は連絡いただければ嬉しいです。
撮影(2004.3/4):杏正(彦愛犬自然観察会会員)



春近しホワイト・アイ群れ飛ぶ湖畔
メジロ【目白】<メジロ科>
文&写真:筒井 杏正


 2004.02.19の日中気温は、春爛漫を感じさせる15度。帰社途中の午後4時頃、暫しのさぼりを決め犬上川河口琵琶湖畔を彷徨う。ヨシ原に小鳥が群れをなし見え隠れしている。常備のフィールドスコープで眺めるとメジロだ。柔らかい緑と黄色の羽毛に目の回りのあの白い輪。英語名でもwhite-eyeというように一目で分かる野鳥。春は声、秋は色を賛美するのが習わしといい、春の鳥という印象もある。何羽もが一斉にタチヤナギの枝に止まり、まさしく「めじろ押し」の光景を見せてくれた。

 今日は二十四節気の雨水。2/4の立春と3/5の啓蟄との中間に当たる。少しずつ春の兆しを感じさせてくれたのは、ゆくりなく現れたメジロたちのおかげである。
 一方で今、白い目で見られている鳥がいる。山口県の鶏に次いで、大分県のチャボが鳥インフルエンザに感染してしまった。そしてこの民家の半径30km以内で鶏卵などの移動を制限した。たった今、TVニュースが追い討ちをかけるように大分のチャボ近くで感染し死んだ十姉妹が見つかったと告げた。
 兎角、最近の細菌はAIDSに始まり、昨年の新型肺炎SARSなど自在変化する恐ろしき新種のインベーダーだ。蛇足かも知れないが、人間社会も戦前のideologyが突然変化して現れたかのような憲法解釈が生れ、自衛隊のイラク派遣、北朝鮮問題、さらに13年ぶりに回復したというGDPは、生活の中で実感をともわない。これらなんともやっかいで、きなくさい課題がめじろ押し。それでもなぜか 私にとって、今日現れたメジロの群れは、心安らぐ眼福だった。



鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい・・・・・・その正体は?
トラツグミ【虎鶫】<ツグミ科>
文&写真:綾木 陽一
撮影:04.02.14.午前中(曽根沼:彦根市)

「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい・・・・・・」、
随分と昔にこのようなキャッチコピーの金田一耕助シリーズの映画がありました。

闇夜の山の中から「ヒーーー  、ヒーーー 、・・・」
と物悲しい声が聞こえてくるのを覚えています。
映画のストーリーや題名は忘れてしまいましたが・・・・

 この鵺の正体がトラツグミなんです。私もトラツグミの声は、深夜に彦根市男鬼町や夜明け前に多賀町落合で聞いたことがありましたが、今回、はじめてトラツグミに遭遇することができました。
 曽根沼緑地公園で別の鳥を双眼鏡で見ていたのですが、足元から何かゴソゴソと音がする。
5mほど先の低木の下で何か動いているのを見つけ、双眼鏡で見ると、トラツグミでした。周囲の落ち葉や土をくちばしでひっくり返しながらエサをさがしているようで、懸命にゴソゴソ動いていました。
 金田一耕助シリーズの映画の影響か、私の勝手な想像でトラツグミは主に夏の夜というイメージがあったので、思いがけない遭遇でした。実際は、留鳥なのでこのあたりでは、一年中見られます。 山に雪が降る季節は、山地から平地へ移動するそうです。
 みなさんも林や薮の中を歩かれる時にゴソゴソと音がすれば、近くにトラツグミがいるかもしれません。
 ちなみに鳴き声が聞くことができる時期や時間帯は、繁殖期(春から夏にかけて)の夜間ということです。
 最後に、鵺というのは、「平家物語」や「源平衰退記」に出てくる、頭が猿、胴が狸、手足が虎、尾は蛇というとんでもない妖怪のことです。やはり、物悲しい鳴き声が昔の人々から不気味がられていたのでしょうか・・・・・・。
そんな事で、人々から不気味がられていたトラツグミを物悲しく思う私なのであります。




「鴛鴦の契り」

仲むつまじい?オシドリ夫婦が3組(滋賀県多賀町の高宮池)
文・撮影:筒井杏正(彦愛犬支部会員)2004.02.05
 「鴛鴦の契り」 難しい漢字だが「えんおう」と読み、オシドリの漢字名でもある。
このことわざは、多くの人がご存知のように仲のよい夫婦の例えに使われている。
 しかし、これも知識のある野鳥ファンから言わせると、とんでもない話だという。なぜならオシドリの実態は、つがいでいるのは1年くらい。また、卵やヒナの世話をするのはメスのみで、その間オスは、他のメスにちょっかいを出す始末。次の繁殖期には、オスもメスも昨年の出来事は、すっかり忘れ、また別のパートナーを探す。…となると、結婚式のスピーチでオシドリ夫婦なんて話ができない。
 しかし、この2つの話は、両方ともオシドリから言わせれば、とんでもない話しだ。人間が、人間の道徳観に合わせて得てかってに作った感情論にすぎない。
 オシドリの夫(♂)は、嫁はん(♀)が子育て中は、あまり近づけない。それは、嫁はんが子育てに夢中で、夫の力添えなんて必要ないばかりか、それが最高の喜びだからである。この時点で夫は完全に嫁はんに見放される。このため未婚の新たなメスに近寄り求愛するのは、当然のことだ。…と、私はえて勝手に思うのだが????



サルトリイバラの説話

中国の漢方薬の名を山帰来(サンキライ)といいます。
文:出雲孝子(彦愛犬自然観察会会員)
2004.01.27
 その効能は、なんと梅毒(性病)です。抗生物質が使われる以前は、この根を干したものを湯煎し使ったといいます。当時、梅毒は治りにくい病気で、その病気にかかった患者を可愛そうにも山中に置き去りにしたといいます。しかし、山に捨てられた人が、なぜかこの根を食べて回復し、山から帰ってきたという逸話があります。薬名の「山帰来」とは、ここから生まれた名前だそうです。しかし、日本名のサルトリイバラ(猿捕り茨)は、サルも捕らえられる有刺鉄線ようなトゲがあるとの意味です。

写真撮影:綾木陽一
 今年はサル年。日本名と生薬名の「山帰来」をからませ、新年のネイチャー・ウォッチング・コラム。
 たとえば、あなたが立ち直れないほどの病に臥していても「最後まであきらめない心意気」を伝えるこのサルトリイバラの説話を思い、あらゆる可能性を探り挑戦して欲しいと願います。

<植物の特徴>
・山野や林に生える落葉つる性低木。
・葉は緑で、長さ3〜12cmの円形、または楕円形で互生する。
・鋭いトゲと葉柄の巻きひげで他の物にからみついて、茎を伸ばす。
・4〜5月、葉腋より出る花茎に淡黄緑色の小花が散形状につく。
・雌雄別株。10〜11月に朱赤色の液果が球状に熟す。
・葉が枯れてもよく目立ち、冬の間、山野を彩る。
・西日本では、葉を団子を包むのに使う
・この辺りではガラタテといいますが、図鑑によれば、別名ガンタチイバラ・カカラ
 ★参考文献:山渓ハンディ図鑑5「樹に咲く花」





ここは本当に「渡り鳥の楽園」なの?
 1月10日のお昼前、びわ湖の湖周道路を彦根方面から大津に向かって車を走らせていると、異様な光景に出会った。ユリカモメが人の頭上を群れ飛んでいる。ちょうど駐車場があるため様子を伺いに車を止めた。すでに10台ほどの先客あり。ほとんどの人がカメラを持ち撮影をしている。よく見ると群れ飛ぶユリカモメだけではなかった。▼下に続く

▲びわ湖岸で渡り鳥たちを身近でいとも簡単に撮影。なぜ?
写真は普通のデジカメ写真(キンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモの面々)
 湖岸沿い間近の湖面には、コハクチョウが10羽近く、それにキンクロハジロ、オナガガモ、ホシハジロなどがスイスイ?、どちらか言うと興奮気味に泳いでいる。人をあまり恐れていない様子だ。遠くにはヒドリガモやコガモ、カルガモ、カイツブリ、カワウなども見られるが、彼らは近寄らない。ユリカモメは、大人も子供もパンのミミをやっているようで、空に放り投げると空中でうまくキャッチする。中には、指先で長いパンのミミを持ち、直接カモメが食らうのを試している大人もいる。湖岸の看板に「ここでは水鳥と親しむため餌付けを行っています………(略) 淡海環境保全財団」と書かれていた。
 簡易のビニールハウスで管理している人がいたので、「餌付けをしているのですか?」と尋ねた。この人は「コハクチョウを愛する会」と名乗った。「いや、私たちはやっていない。昨年までこの財団が餌代を出してやっていたが、今年からはその予算が無くなり、ボランティアの方が自費で餌を買って与えている。」とのこと。
 野生の渡り鳥が近くで見られるのは嬉しいが、なんだか不自然な自然。それに環境保全という名のもと餌付けをして、予算が無くなったから中止するという不可思議なプロジェクト。
 写真は、その一部。ユリカモメが群れ飛ぶ光景や餌付けされたコハクチョウ(ここが南限らしい)が平然と泳ぐ姿は、実際に行って確かめて見ては。場所は草津市の湖岸。

杏正(彦愛犬自然観察会会員)




春の七草の一つ「ホトケノザ(コオニタビラコ)」
文と写真撮影:田中 縁(滋賀自然観察指導者連絡会 彦愛犬自然観察会会員)
 春の七草は、秋の七草が見て楽しむのに対して、無病長寿を願って食べられてきた野草です。

 そして、1月7日に七種の菜(春の七草)を入れて炊いた粥を食べると万病を防ぐと言わ れています。七草粥(かゆ)にするようになったのは、室町時代以降と伝わります。
田んぼに一面咲いていたコオニタビラコ(昨年4月撮影)
 その七草は、セリ(芹)、ナズナ(薺)、ゴギョウ(御形)=ハハコグサ、ハコベラ(繁縷)=ハコベ、スズナ(菘)=カブ、スズシロ(蘿蔔)=ダイコン、ホトケノザ(仏の座)=コオニタビラコです。

 しかし、この中でホトケノザの花を見たという人は少ないように思います。また、彦根では少なくなっています。

コオニタビラコの花
 コオニタビラコ(小鬼田平子)の田平子は、水田にロゼット状の根生葉を平たく広げる様子を表現したものです。水田に多い越年草で若葉が柔らかいので、これを食します。花は黄色で、同じヤブタビラコ属のヤブタビラコに似ています。花は、3〜5月です。田んぼに一面咲いているところを昨年見つけました。(現在、ホトケノザと言われている植物は、シソ科の別の植物です。オニタビラコは、キク科です。


 田平子は、水田にロゼット(放射)状の根生葉を平たく広げる様子のことを言う。
※参考文献:山渓ハンディ図鑑「野に咲く花」




ミコアイサ(神子秋沙) <カモ科>
 コガモよりやや大きい、小型のカモ。よく「パンダガモ」とも言われ、白と黒の色のとり合わせが美しく、愛くるしい。潜水ガモで水に潜って魚や貝、甲殻類などを食べます。
琵琶湖周辺に飛来する個体数は少ない上に、琵琶湖の沖合いや内湖・池でも岸から離れた所を泳いでいるので、なかなか観察することはできません。▼下につづく


 ▲それだけに、水面上にミコアイサを見つけたときは、誰もがその美しい姿にくぎ付けとなるのです。この写真は、三島池に行ったときに、一羽だけ池の中心あたりを泳いでいたのを撮ったものです。
 ミコアイサまでの距離が遠いので、光学8倍、さらに電子ズーム4倍とデジカメの望遠機能をフルに使ったため、クリアな写真ではありません。

●文と撮影
 彦愛犬自然観察会:綾木 陽一




ユズリハ(譲葉)
 彦根市の荒神山のふもとの子どもセンターの駐車場に、ユズリハの木を見つけましたた。この木は、正月などに飾られる、おめでたい木です。

文=渡邊輝世(彦愛犬自然観察会会員)


雌雄は別株だが、両方とも植えられていました。
撮影=子どもセンター(彦根市荒神山山麓)2003.12.08

▲ユズリハの雄株

▲ユズリハの雌株


<名の由来>
  ユズリハは、若芽が伸びてから古い葉が落ちるので「譲り葉」の名があります。
 親が成長した子どもに跡目をゆずるのにたとえて、めでたい木とされ、古くから正月の飾りつけ(枝と葉)に使われています。
 しかし、どこかの国の先生と呼ばれるお偉い方々は、なかなか跡目や権力を譲ろうとはしません。たまには、このユズリハをじっくり観察することを薦めたいですね。
 ちょうど実が熟すシーズンで、雌株には、長さ8〜9mmの黒紫色の実がタワワに実っていました。

実が熟す


ユズリハ(譲葉)
 
ユズリハ科 雌雄異株 常緑小高木〜高木(4〜10m)花期:5〜6月 結実:11〜12月
 幹は直立し、まばらに分枝、枝に大きな葉根が目立つ。葉は枝先に輪生状に厚真って互生、狭長だ円形で全緑、長さ15〜20cm。先端は急にとがり、革質で表面は深緑色。裏面は白っぽい。側脈は、16〜19対、葉柄は赤くなる。
総状花序につく花には、花弁がなく顎がごく小型。果実は核果で、長さ8〜9mmの楕円状球形。10〜11月に藍黒色に熟す。
実が熟す

葉が落ちた後の大きな葉根が目立つ。
葉柄は赤i

葉柄は赤くなる

●用途=庭木、公園樹、正月飾り
●分布=本州(福島県以西)、四、九、朝鮮南部、中国(中部〜西南部)
●類似種
・エゾユズリハ(蝦夷譲葉)
 ユズリハの変種。に本会側の山地に多い。
 下部からよく分枝し、地をはう、高さ1〜3m、多雪地帯に多い。
・ヒメユズリハ(姫譲葉)
 暖地の海岸に生える。