トリカブトとよく似た葉っぱの花々たち


<春は、山野草を愛でる季節>

 4月初旬、鈴鹿山麓は、まだ春が始まったばかり。
その中腹は、花をつけない幼葉があちこちと芽を出し、
一面は浅緑のじゅうたんを敷きつめたようになり、早春がむせるように匂い立つ。
 人は、自然に生えている花を愛で、また、山の幸を摘んで食べる。それは、生きるために太古の昔から営々と続けてきた営みの一つである。
 バイオテクノロジーが発達した今、人々の間で趣味として山野草が静かなブームとなり、春になるとさまざまな山間でいろいろな人々に出会う。



<山のマナーを心得ない人々>

 ただ最近になって、この山野草ブームは、ひたすらの趣味にとどまらず、貴重な山の植物を盗掘し、売りさばくという悪徳業者まで出現している。また、山菜狩りでは、根こそぎ摘みとってしまうという自然の摂理を心得ない人が横行する。たとえば、毎年咲いていたセツブンソウの群落が、今年は、わずかしか咲いていないとか、枝先のタラの芽が、すべてもぎ取られていたとかなど、今となっては、美しく密かに咲く花も受難の時代になったといえる。山に入るなら、自然の生態系を知り、こころから自然を愛する気持ちで入山して欲しいものだ。


<トリカブトに似た葉の植物>

 数年前、山菜狩りにいった人が、ニリンソウの葉とトリカブトの葉を間違え摘み取り、天ぷらにして食べ、命をなくしたという事故が新聞に載っていた。ある植物は、なぜ毒を持ったのかは、よく知られていないが、草食動物からの自己防衛手段ではないかと思われる。
 先週、鈴鹿の山を歩くと、次のよく似た葉の植物が見られた。トリカブト、ニリンソウ、イチリンソウ、セツブンソウの4種。どのような違いがあるか写真を見ながら比較してみよう。

1.トリカブト(キンポウゲ科)
 その毒性は、言わずと知れた植物界最強である。葉は3全裂あるいは3深裂する。アルカロイドの1種でアコニチンほか数種類。全草に含まれる。アコニチンは葉で生産され、根に運ばれるため、毒成分は、春先は葉に、秋には栄養分をたくわえて太った根に多い。
2.セツブンソウ(キンポウゲ科)
 希少植物の一つ。石灰岩地を好む植物で、近江カルスト地形と呼ばれる、鈴鹿北麓には群落をなしているところも見られる。トリカブトの葉とは、最も似ているように思われるが、これもキンポウゲ科のため、山菜としては採取されることはない。
3.イチリンソウ(キンポウゲ科)
 この花も鈴鹿山麓には、じつに多い。葉は3個あり、2回羽状複葉で、さらにニンジンの葉のように細かく分裂している。トリカブトとは、あきらかに違う。

4.ニリンソウ(キンポウゲ科)
 食べられる植物だがよくトリカブトと間違われる。根性葉は3全裂し、さらに2深裂する。トリカブトほどには、葉の切れ込みや分裂が少ない。花は白くとても可憐。こんな可愛い花食べないほうが良いに決まっている。