お盆も過ぎた休日、山森に囲まれた芹川ダムを一周すると、いろいろな小さな秋が見えてきます。草木の小枝に青い実や赤い実。そして、その陰からさまざまな秋の虫も飛び出します。今日は「へんな葉」や「木の実、草の実」「秋の昆虫」を見つける観察会でした。
★観察期日:2004年(平成16年)8月21日(日)
★観察場所:県立野鳥の森・芹川ダム周遊路(多賀町)
★天候:乾燥した晴れ、風がさわやかで秋の訪れを感じる
★参加者:10名(うち子ども1名)
★参加会員(リーダ3名):出雲、西澤、筒井
★レポート&撮影:筒井杏正


★観察した動物
ブラックバス(ダム湖)、マムシ(水が染み出る山の斜面)、ヤマアカガエル
★観察した昆虫
アオマツムシ、イナゴ、ツチイナゴ、オニヤンマ、ミヤマアカネ、シオカラトンボ、カマドウマ、カマキリ、クルアゲハモドキ、モンシロチョウ、モンキチョウ、カノコガ、ハンミョウ、ミヤマクワガタ、クモの仲間数種
★観察した草木の実
クヌギ、コナラ、コバノガマズミ、サンシュウヤマゴボウ、ノブドウ、ツバキ、ナツハゼ、ネズ、ネズミモチ、カクミノスノキ、ツルアリドウシ

芹川ダム
さわやかな青空の下、小さな秋を見つける
芹川ダム湖一周の小さな旅が始まった。
 ダム湖えん堤の脇の草むらに、早くも秋の実を見つける。

まだ、熟していない青い実のノブドウ
少しかじるが、とても酸っぱい→

青い実のノブドウ
 湖周遊歩道一周は約3.5km。そのスタート入口にコナラとクヌギの木の実、つまり2種類のドングリが殻斗(かくと)の中から青い実を見せている。
コナラのどんぐり
コナラのどんぐり
クヌギのどんぐり
クヌギのどんぐり
 小さな秋が、なにか見つからないか、目を上下左右に斜めに、とてもゆったりしたペースで歩き始める。
コバノガマズミの実
コバノガマズミの実
カクミノスノキの六角形の実
カクミノスノキの六角形の実
ツルアリドウシの実
ツルアリドウシの実
コバノガマズミの実
ツバキの実
 周遊路をしばらく進むと、いつも山の斜面から水が染み出て苔むしているところがある。その水が冷たいか、近寄ろうとすると、足下から突然、動き出したものがいる。

 なんとマムシだ!。よく噛まれずにすんだものだ。小枝を投げて追い払うと、体をくねらせ逃げていった。

マムシに出くわす。
マムシに出くわす。
 次に枯葉の陰から現れたのは、小さなヤマアカガエルの子ども。おそらく、ヘビ類がこのカエルを食べ、カエルは回りの昆虫を食べ、昆虫はさらに小さい昆虫や樹液を吸って生きている。これが食物連鎖だ。ヘビだって、さきほど上空を通りすぎたオオタカなどの猛きん類の餌食になるのだ。
小さなヤマアカガエルの子ども。
小さなヤマアカガエルの子ども。
 昆虫は、実に豊かだ。トンボの仲間、イナゴの仲間、チョウの仲間
ミヤマアカネが帽子にとまる
ミヤマアカネが帽子にとまる
オニヤンマ
オニヤンマ
ツチイナゴ?
ツチイナゴ?
イナゴ
イナゴ
モズのハヤニエ?
モズのハヤニエ?
オニグモ
オニグモ
カマキリ
カマキリ
アオマツムシ
アオマツムシ
 道端にミヤマクワガタの♀を見つけた。回りに樹液はある木がないか確かめたがなにもない。今村君は、小さな宝物を最後まで大切に見つめていた。
今村君とミヤマクワガタ♀
今村君とミヤマクワガタ♀
ミヤマハンミョウ
ミヤマハンミョウ
クロアゲハモドキ
クロアゲハモドキ
 ミヤマハンミョウがいつものように人の行く前を飛んでいる。

 クロアゲハにしては小さく光沢がないと思ったら、ガの一種のクロアゲハモドキ。

 同じくカノコガも、目立った鮮やかな色を見せている。

カノコガ
カノコガ
 トックリバチの巣づくりはユニークだ。土を取ってきてつぼのような形を作り、この中に産卵する。

 それから、幼虫のえさにするためイモムシをとってきて巣の中に入れる。その後は穴に土のフタをする。

トックリバチの巣
トックリバチの巣
「へんな葉を探そう」
 野山を歩いていると”へんな葉”に出会うことがある。葉の表や裏に丸い玉がついているものもある。葉の上に字を書いたように白いすじのあるもの、葉が丸く切りとられたもの、葉が合わさったり、くるりとまかれたものなどいろいろ見つかる。これらは、ほとんど虫のしわざである。どんな虫がどんな”へんな葉”を作るのか。また”へんな葉”今日は、ゆっくりと芹川ダムを一周しながら、じっくり探してみた。
スミナガシの仕業→
(タテハチョウの仲間)


 アワブキ、ミヤマハハソの枯葉をつづり、その中にかくれる。

スミナガシ
アカタテハの仕業→


 カラムシ、イラクサなどの葉をつづって巣にする。

アカタテハ
 モグリガ、モグリバエチビタマムシの幼虫は、葉肉の部分を食べる。食いあとが白く残るようすから絵書き虫とか字書き虫とかよんでいる。
クロアゲハモドキ
絵書き虫の仕業
 右はササの葉を折り曲げて、網を張り中に卵を産むササグモ。

 同じようにススキの葉をうまく巻いて、中に卵を産むカバキコマチグモというのもいる。このクモは、子グモが母グモを食べてしまうという習慣がある、変わったクモだ。
クロアゲハモドキ
ササグモの仕業
「色々な木の実や草の実の同定会」

ダム湖にはカワウなどの水鳥も
この橋を渡るとスタート地点へ
この橋を渡るとスタート地点へ
同定会
とってきた色々な木の実や草の実を白い紙にならべる
 20種類くらいの草木の実が見つかった。それぞれの実がどのような方法で他の場所へ運ばれるのかを調べてみるのも面白い。1.乾いてはじける。2.綿毛を持ち風で運ばれる。3.実に翼を持っている。4.細胞の圧力ではじける。5.水に運ばれる。6.動物や鳥に食べられ糞となって落ちる。7.ひつき虫のように動物などの体にひっつく。

県立野鳥の森ビジターセンター前で記念撮影
 スタートが朝の9時半頃、ダム湖一周約3.5kmをゆっくり歩き見る観察会だったが、なんと到着したら正午を回っていました。このため、お二人ほど先に帰られたが、本当に夢中になるほど多くの昆虫や植物、そして動物の跡をみることができました。そして、参加者の中の中村さんは、神奈川県逗子市からわざわざ来られました。お話を聞くと、私たち同様NACS-Jの会員で、この機関誌に掲載された彦愛犬の観察会スケジュールをご覧になり、休日を利用して来られたそうです。ほんとうにありがとうございました。またの機会がありましたら、ぜひ参加ください。(杏正)