里山の秋の色づきが山上からすそ野へと染め行くなら、春の色づきは里中から山上へと染まり行く。
 今日、琵琶湖を渡る風も、伊吹を抜ける風も嵐のごとく、芽吹き花咲く草木を容赦なく靡かせる。
 伊吹山麓3合目は、這うように走る疾風が満開のスハマソウの群落を叩きつける。
 それでも、立枯木に風を遮られた少し窪みのスハマソウは、茎を直立させ清々しく花咲いていた。
●スハマソウ(洲浜草):伊吹山の登山道では2〜3合目に見られる。今年の3合目は、4月初旬から中旬までが見ごろ。よく似たミスミソウは、3合目にあるという話しもあるが見当たらない。
 続いて3合目の草原を飾るのはアマナ。密ではないが満遍なく咲いている。花に興味のない登山者は、この草原に花が咲いているとは思っていないだろう。きっと。だって、かって私もそうだったから。
 でも、こんなこと言った植物の先生もいた。「伊吹山は植物の情報さえ簡潔明瞭に発信していたらそれでいい、花を目的に来る人が大半だから」っと。だが、わたしは未だにこの意味が分からない。
 山里の畑のキバナノアマナの群生は、3月半ば見ごろだったという。今頃どうだろう。アマナほど多くはないが、人が足を踏み入れない日当たりのよい端に、ちらほらちらほら咲いている。5合目の草原にも。
 あちこちで草原の土が耕されている。しかし、得手勝手な耕し方でところどころ穴も空いている。モグラの仕業だ。
 山頂にも多く、中には知らずしらずのうち登山者に踏まれて昇天しているのも時々見かける。そのほとんどは、ヒミズと言われるモグラの小型種だ。

▲ネコノメソウとヒミズの穴
▲「フキノトウ?、もう終わったよ。今ごろこんな風景、2番煎じで珍しくも面白くもない」。でも、伊吹の6合目は、今、早春を迎え早緑に輝いているんだよ。


 ▲7合目、キジムシロ(右)の蕾が吹き出している。この花、伊吹山では、春から晩秋、いや雪が降るまで咲かせる、おそらく一番花期が長いかも知れない。※山頂はツルキジムシロが多い。
 左はヒメレンゲの新芽。数年前、この辺りで会った物知りおじさんにイワベンケイと教えてもらった。しばらくそう思っていた。…が、伊吹山はヒメレンゲだった。


 ▲ガスに包まれた8合目の祠は、一風で見えもし隠れもし。

▲9合目から北東の嵐が丘に向う。山頂山小屋も濃霧に見え隠れ。

 ▼その奥の雪崩防止柵の辺りは、吹き溜まりとなって1m余の残雪だ。
 
 右写真は、雪崩防止柵から少し降りた山頂近い西コース。雪解水が、絶え間なく登山道を洗っている。この光景は、GWに入る頃にはどう変わるだろう。

山頂からの雪解水→


 ▼山小屋と日本武尊像は、伊吹山頂のトレードマークだ。また、この辺りの雪の吹き溜まりの特徴が実に面白い。3/19の写真でも分かるように、急にせり上がって2mに達する雪が残っていた。

 ▼今日の締め括りに、私レベルのとっておきの感動の写真をご披露。今なお、息絶え絶えに花開くセツブンソウ群落とその奥で意気揚々と開花するキバナノアマナの情景にSense of Wonder。


滋賀自然環境保全・学習ネットワーク
伊吹山自然観察会「伊吹山四季のレター編集部」
ibuki@ds-j.com (筒井杏正)