2008年 伊吹山タンポポ分布調査(山頂部)
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山頂トイレ周辺のタンポポ群
▲山頂トイレ周辺のタンポポ群は、すべてセイヨウタンポポ。在来種はゼロという悲惨な状況。
 ■2008年 伊吹山頂部「山小屋周辺」セイヨウタンポポ調査 昨年比
松仙館西口のタンポポ群
▲松仙館西口のタンポポ群。在来種の被度は5.1%。昨年より3%ダウン。
■伊吹山頂部「山小屋周辺」タンポポ分布調査
・調査期日=2008.05.25
・調査法=網羅的目視調査
・調査区域=右図参照
・調査表=下図参照

<第1区画> 山小屋(対山館・宮崎屋)西南側
 タンポポの総株数は、10株増えている。しかし、在来種は11株減少し、生育していない。
<第2区画> 山小屋(雲上荘・えびす屋)南側
 タンポポの総数は、28株増えているが、在来種は28株減少している。ここでは、明らかに移入種のセイヨウタンポポが増加している。
■山頂部「山小屋周辺」概略図
<第3区画> 山小屋(旧伊吹山測候所)東南側
 タンポポの総株数は、100株減少している。うち在来種は、1株減少した。

<第4区画> 山頂トイレ周辺
 昨年6月、移入種タンポポの除去を行ったに関わらず、総株数は若干増えている。この区画は、昨年同様在来種は、見あたらない。
<第5区画> 山小屋(松仙館)西側
 タンポポの総数は、180株増加している。在来種は、2株減少している。
<第6区画> 日本武尊像東北側周辺
 総株数は、150株増加している。うち在来種は30株減少し、セイヨウタンポポは180株増加した。
<第7・8区画> 
 総株数は、170株減少。在来種は14株増加。他の区画のほとんどが、昨年の除去作業に関わらず移入種の変化はないか、若干増加している。また在来種は逆に減少しているが、この区画にあっては、今後の保全が必要とされよう。
■伊吹山頂部山小屋周辺のタンポポ(移入種・在来種)分布調査
調査区画 / 調査年
2007年
2008年
伊吹山頂部 区域名
除去前(6/2調査)
生育タンポポ株数
除去後(6/5調査)
在来種総数
在来種
被度(%)
除去前(5/25調査)
生育タンポポ株数
除去後(6/8調査)
在来種総数
昨年比
増減
在来種
被度(%)
第1区域(南斜面西・山小屋西南)
550
11
2.0
560
0
-11
0.0
第2区域(南斜面中央=山小屋南)
530
69
13.0
560
28
-41
5.0
第3区域(南斜面中央〜測候所)
280
6
2.1
180
5
-1
2.8
第4区域(山頂トイレ周辺)
630
0
0.0
640
0
0
0.0
第5区域(松仙館西入口付近)
370
30
8.1
550
28
-2
5.1
第6区域(日本武尊像北斜面)
580
33
5.7
730
3
-30
0.4
第7・8区域(北の弥勒堂周囲)
720
81
11.3
550
95
+14
17.3
総  計
3660
230
6.3
3770
159
-71
4.22

【総評】
<山頂部 セイヨウタンポポ除去作業の疑問>
 一昨年6月および今年の6月に各一日だけの「山頂部セイヨウタンポポ除去作業」が開催された。しかし、今回の調査データと昨年のデータを比較すると、除去作業における成果を見ることができない。総区画のタンポポの総株数は、昨年より5%増加し、在来種は2.2%減少している。これは、セイヨウタンポポタンポポがかなりの早さで増加していることを表している。除去作業を行っても、さほどの効果はあがっていないどころか、環境は悪化している。
 なぜ、このような現象が起こるのか。考えられるのは以下の4つである。

1.除去する数より、増殖する数が上回る。または除去が十分でなく、残留根からさらに萌芽している。
2.セイヨウタンポポが山頂部に侵入するルートは、そのほとんどが伊吹山ドライブウェイと思われる。
  このためには、伊吹山DWからの侵入を食い止める方法をまず考える。
3.セイヨウタンポポの生育メカニズムを考えた除去作業を施す。
  除去作業が、わずか一日だけのイベント的なお祭り騒ぎであってはいけない。
  セイヨウタンポポは、見つければ常に除去するという地道で持続性ある日常的な活動が必要となる。
4.地球の温暖化現象により、伊吹山頂部の気温が上昇し、セイヨウタンポポタンポポのみでなく、様々な移入種や平地植物が侵入しやすい生育環境に変化している。

<伊吹山ドライブウェイから侵入する移入種への懸念>
 今、伊吹山ドライブウェイから侵入しつつある移入種は、セイヨウタンポポばかりでなく、フランスギク、ハルサキヤマガラシ、ヒメジョオオン、ハルジオン、タカサゴユリ、セイダカアワダチソウなど凄まじい勢いで山頂部に向かって侵略しつつある。この中で、交雑しやすい種としては、セイヨウタンポポ(移入種)とイブキタンポポ(固有種)、セイタカタンポポ。ハルサキヤマガラシ(移入種)とイブキガラシ(=ヤマガラシ)。これらの侵略は、純粋種の保存を脅かしている。この現象は植物の遷移といった自然の流れをはるかに超えたスピードで迫り、生態系の根幹といわれる植生環境を変えて行く。このことで伊吹山の豊かな生物の多様性は、そう遠くない日に失われるという危機が迫っていることを認識する必要がある。

■伊吹山頂部「遊歩道」 セイヨウタンポポ調査

▲各区間の数字は、セイヨウタンポポの株数
■伊吹山頂部「遊歩道」セイヨウタンポポ分布調査
・調査期日=2008.05.18
・調査法=網羅的目視調査

<西遊歩道> 伊吹山DW駐車場〜山頂=N-1〜7
 駐車場近くから中間地点までの約100m、および山頂近くの約30mの2区間により多く分布している。中間点はやや少ないが、全体区間にまんべんなく着床している。
調査場所/株数
区間
区間
区間
区間
区間
区間
区間
西遊歩道
N-1
N-2
N-3
N-4
N-5
N-6
N-7
合 計
株 数
126
97
108
29
67
82
223
732
中央遊歩道
C-1
C-2
C-3
C-4
株 数
東遊歩道
E-1
E-2
E-3
E-4
E-5
E-6
E-7
合 計
株 数
230
21
16
45
101
18
16
447
<東遊歩道> 伊吹山DW駐車場〜山頂=E-1〜7
 駐車場近くのE-1区間では、もっとも集中して生育している。次いで多くいのはE-5区間。この辺りは小丘の頂となっていて、広がりを見せ、登山者の休憩所となっている。その他の区間は、道幅も狭いため、着床数は少ない。

<中央遊歩道>
 未調査